田舎について

2000年12月18日
思うところあって、年明け早々に田舎に帰ることにした。

祖父母の家の目の前を流れる小さな川と、その向こうに広がる雄大な阿蘇の外輪山。
朗々と響き渡る祖父の読経で目を覚まし、朝靄の中を祖母と手をつないで土手一周。
庭の池に泳ぐ鯉を数える。
たすきがけにした虫かごをガタガタいわせながら、トンボやセミを追いかける。
裏の墓地のお掃除では、墓石にお水をかけるのが私の仕事。
墓石にはりついているアマガエルが、びっくりしたように跳ねて逃げてゆく。
あまーく煮た梅の実。卵をおとした熱々のお味噌汁。手作りのおはぎ。ふかした食パン。ゆでとうきび。

ゆったりと流れてゆく時間の中で、このうえない贅沢と幸福に満たされながら、私は大きくなった。
そういった意味で、あの場所は、私の原点なのだと思う。


祖父の読経や祖母のおはぎの味、そして阿蘇の自然の美しさは、今でも決して変わることがない。
でも、いつの間にか祖父母も80を越え、朝の散歩は、もう完全に無理になってしまったようだ。
今まであたりまえだったのがあたりまえでなくなるということは、とても淋しい。

そんなことをぼうっと考えていたら、無性に祖父母に会いたくなったので、すぐさま飛行機のチケットをとった。

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