高3最後の授業
2000年12月20日今日は、私が受け持っている高3選択古典の最終授業だった。
高3は1月から自由登校期間だし、それぞれ進路も異なっているので、中にはこれが人生最後の古典の授業という生徒もいる。
いろいろ考えたけど、今更奇をてらうのもなんだかなあ、という感じだったので、ごく普通に問題演習を行った。
そして、今日はいつもみたいに馬鹿話でなく、ちゃんとメッセージを送ろう、と考えていたので、予定通り、チャイムまで15分というところで答え合わせを終えることができた。
「じゃ、少しだけ話をしようか…」
と私が言いかけた時、突然ひとりの女子生徒が立ち上がった。
彼女はにこにこ笑いながら私に近づき、一枚の紙を差し出した。
「先生、これ私達から」
びっくりしながら受け取ったそれには、“一年間ありがとう”という赤い大きな文字と、私の似顔絵と、生徒全員からのメッセージがびっしりと書き込まれていた。
「…泣かすなよ」
私はやっとの思いでそう呟いた。
高3を受け持つのは初めてだったし、私は大学で近現代文学を専攻していたため、古典分野は専門外だということもあり、今年は本当に辛かった。
教材を探すことから始まって、文法的に扱う範囲や進度、授業方法など、私自身がひたすら試行錯誤を繰り返すばかりだったので、生徒達には決して「使える先生」と認識されていなかったと思う。
そんなふうに、目的に向かって頑張っている生徒達に何の手助けもしてあげられない自分が歯がゆくてたまらなかった。
でもこの瞬間、こんな私でも何らかのかたちで生徒達の心の中に受け入れてもらっていたんだなあ、と初めて実感できて、私は言葉を失ってしまった。
「先生、泣くなよー」
「なんかひとこと頂戴よ」
クラス全員が、笑いながら私を見つめている。
あらかじめ準備していたもっともらしい話なんて
する気にもなれなかった。
私は、自分の弱味を初めて自分から生徒にさらけ出し、ごめんなさい、と謝った。
そして、こんな私についてきてくれてありがとう、と心から言った。
決して真面目ではないけれど、元気で素直で明るい教え子30人。
この子達が私にくれた笑顔と拍手は、一生忘れられないと思う。
【本日の酒量】久々に飲みに行った。
生中2杯、日本酒(久保田千寿)、サワー2杯
高3は1月から自由登校期間だし、それぞれ進路も異なっているので、中にはこれが人生最後の古典の授業という生徒もいる。
いろいろ考えたけど、今更奇をてらうのもなんだかなあ、という感じだったので、ごく普通に問題演習を行った。
そして、今日はいつもみたいに馬鹿話でなく、ちゃんとメッセージを送ろう、と考えていたので、予定通り、チャイムまで15分というところで答え合わせを終えることができた。
「じゃ、少しだけ話をしようか…」
と私が言いかけた時、突然ひとりの女子生徒が立ち上がった。
彼女はにこにこ笑いながら私に近づき、一枚の紙を差し出した。
「先生、これ私達から」
びっくりしながら受け取ったそれには、“一年間ありがとう”という赤い大きな文字と、私の似顔絵と、生徒全員からのメッセージがびっしりと書き込まれていた。
「…泣かすなよ」
私はやっとの思いでそう呟いた。
高3を受け持つのは初めてだったし、私は大学で近現代文学を専攻していたため、古典分野は専門外だということもあり、今年は本当に辛かった。
教材を探すことから始まって、文法的に扱う範囲や進度、授業方法など、私自身がひたすら試行錯誤を繰り返すばかりだったので、生徒達には決して「使える先生」と認識されていなかったと思う。
そんなふうに、目的に向かって頑張っている生徒達に何の手助けもしてあげられない自分が歯がゆくてたまらなかった。
でもこの瞬間、こんな私でも何らかのかたちで生徒達の心の中に受け入れてもらっていたんだなあ、と初めて実感できて、私は言葉を失ってしまった。
「先生、泣くなよー」
「なんかひとこと頂戴よ」
クラス全員が、笑いながら私を見つめている。
あらかじめ準備していたもっともらしい話なんて
する気にもなれなかった。
私は、自分の弱味を初めて自分から生徒にさらけ出し、ごめんなさい、と謝った。
そして、こんな私についてきてくれてありがとう、と心から言った。
決して真面目ではないけれど、元気で素直で明るい教え子30人。
この子達が私にくれた笑顔と拍手は、一生忘れられないと思う。
【本日の酒量】久々に飲みに行った。
生中2杯、日本酒(久保田千寿)、サワー2杯
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